Slaughterhouse-Five

Kurt VonnegutのSlaughterhouse-Fiveを読んだ。ドレスデンの小説だと教えてもらったのがきっかけだ。読んでみたら、文脈がころころ行ったり来たりして、CPUになったような気持ちがする小説だった。第二次大戦末期のドイツと、ベトナム戦争の頃のアメリカと、UFOで連れ去られた他の惑星と、記述が行ったり来たりする。主人公は時間を行ったり来たりするので、ときどき映画を逆回しに見てしまって、燃えさかる市街から炎を飛行機が回収して、飛行機は後ろ向きにアメリカまで飛んでいき、危険物は工場で分解されて、石油は地面に戻される、というようなことになる。しかし、UFOや時間跳躍は日常めいて、第二次大戦末期のほうが、よほど現実離れしている。貨車に捕虜を積んで何日も運んでいると、貨車全体が生き物のようになって、食べ物が入って排泄物とうめき声が出てくる。爆撃の跡は月面で、鳥の声がプーチーイー、である。

ドレスデンの地理的描写はあまり出てこないのだが、そろそろドレスデンに半年も住んでいるので、ちょっとしたことで、どのへんの話だか見当がついてしまう。かぱこぽと馬車が進んでいたのは、我が家の前の道ではなかろうか。